10月29日(土)兵庫県伊丹市に拠点を置く認定NPO法人日本レスキュー協会様の施設をお借りし、【SAEクラブスタディ】サバイバル体験講座~大地震が起きたらあなたはペットと生き残れますか?~を開催しました。
当初は今年の1月に予定しておりましたが、新型コロナウィルスの蔓延と、災害救助犬デモの日程調整から9ヶ月後の開催となりました。

参加者には事前にご案内でお願いをしているワクチン接種の証明を提示して頂き、マスクの着用、検温等、協会が策定したガイドラインに則り感染防止対策をしっかり講じた上で開催させて頂きました。

午後の会場であるセミナールームも日本レスキュー協会様のご協力の下、8名の受講生を受け入れるスペースを確保し、机と椅子は全てアルコールで清掃し、手指消毒をして入館頂きました。

本日の講師はペット災害危機管理士(R)統括 鈴木清隆講師と専任講師の佐藤麻衣講師です。

当日の天気は快晴。
秋晴れの空の下、受付時間の30分前から集合し始め、開始時間前には8名全員が揃いオンタイムで開始することが出来ました。
さすがに意識の高い受講者さんです。
そして10時開講。本日の講座内容は午前中にガレキ歩行体験及び避難所受付体験。昼食を挟んで午後に災害救助犬のデモと座学を行いました。

ガレキ歩行体験は、5kgのリュックに加え、同伴ペットに必要な水と、愛犬愛猫を想定し5kgの水を入れたライフバッグをたすき掛けで持ち、ヘルメット、軍手の装備で行います。

しかし、実際の災害時に天候を選ぶ事はできず、ケガをしないとも限りません。同伴しているペットによっても水の量が変わります。
そこで、どの様な状況になるか、「天候」「傷病」「同伴種」のそれぞれの状況設定カードを選択して頂き、負荷をプラスして頂きました。

一番軽い状況は天候=晴れ、傷病=無傷、同伴種=猫10kgの水(400㎖)で、一番負荷が重いのは天候=雨(カッパ着用)、傷病=右腕負傷(三角巾で腕を固定)、同伴種=犬30kgの水(1500㎖)をプラスし、リードへの負荷として5ℓの水を持って頂きます。(写真参照)

最大負荷の装備

皆さん、それぞれの状況をプラスし、ガレキの山へ挑戦していきます。
皆さんからの感想としては「バランスが取れない」「足元が見えず怖かった」「今回は水でペットの代用をしたが、実際にはペットが暴れてしまった時、対応できるかわからない」等、初体験のガレキ歩行に苦戦していました。

最大負荷のガレキ歩行体験

ガレキを周回し、その後、避難所の受付へ向かいます。
広場にテントとテーブル、椅子を配置し、避難所受付と想定。その場で同行避難動物登録票へ記入してもらいます。
この登録票は環境省のガイドラインに添付されている登録票例を使用。

避難所受付役はガレキを周回した方が交代で行います。
受付役の方は避難者を椅子へ誘導し、登録票に記入して頂くのですが、右腕を負傷している方は口頭で伝え、受付役が代わりに記入する等、状況に応じて対応しなければならず、なかなか難しかったようです。
しかし、その中にもたくさんの「気づき」があり、終わってみれば皆さんから真剣ながらも笑顔が溢れていたことが印象的でした。

避難所受付終了後、全員でガレキへ。コースに関係なく自由見学して頂き、改めて歩き難さを実感して頂きました。

午後1時より日本レスキュー協会へバトンタッチし、災害救助犬「太陽君」とハンドラーの高木さんによるデモンストレーションを開始。
息の合った歩行や、手差しだけで左右に移動する2人に感動しました。

救助デモでは、とにかく太陽君の捜索スピードが速く、あっという間に要救助者を発見してしまい、再度場所を変えて隠れる事に。
2回目も訓練された嗅覚と足腰でガレキを難なく走破し、発見!救助される役の受講者さんは貴重な体験をされたようです。

 

要救助者役として隠れる受講生

その後、セラピードッグの犬舎と災害救助犬の犬舎を見学し、2階のセミナールームで座学。
現在の活動実績やこれからの課題等をお聞きし、午後2時に終了しました。
初めての災害救助犬の活動を目の当たりにし、皆さんも興味津々でした。それにしても「太陽君」が可愛かったですね。

そして広場へ戻り閉講式。
個々に受講証明書とアンケートをお渡しし、皆さんの感想と講師から一言で終了しました。
終了後も皆で感想を言い合い、今回体験した事やこれからの活動について話が尽きず、中々解散しませんでした。
また、参加された方々のFacebookのチームを作り写真を共有。
これらはSAEの目指すクラブスタディの目的である「同じ課題意識をもった仲間が集まり、人と繋がっているという連帯の中で、互いに励まし合い、協働学習を通して、自らその課題を解決する力を身につけていく」を正に実践知の学び場としてクラブスタディが機能し始めたと実感しました。

これからの皆さんのご活躍を期待しています。
また、次回のクラブスタディへのご参加をお待ちしております。
日本レスキュー協会様、受講生皆様のご協力で、ケガなく無事に終了できたことに感謝しております。

【参加者の声】

■避難体験や避難所受付体験を通して感じたこと
●避難体験では様々な状況の中で、自分の荷物+ペットの荷物+ペットを連れての避難はとても困難であると感じました。ガレキの中を歩くというのは想像していたより大変で、自分が歩くのが精一杯で、ペットを連れているという事を忘れてしまいました。

●知識があることと、行動できることは違うということが実感できました。「ペットの種類、大きさによって同伴の方法が違う」など、冷静に考えれば分かるようなことも、災害現場では考えが浮かばないだろうと感じました。

●受付体験では、避難されて来た人へ寄り添う言葉遣いやお声がけが大事だなと感じました。どのように声をかけ、誘導して良いかとまどいました。

■災害救助犬デモンストレーションと講話を通して感じたこと
●ハンドラーさんの「楽しくなるように訓練しています」という言葉が印象的でした。太陽君にとっては苦しいことではなく、人を捜す=楽しいことなんだと感じました。

●今まで思っていた災害救助犬全般の印象が変わりました。以前ペット災害危機管理士(R)講座受講の際に同じ受講生から「救助犬は過酷な環境で活動しているから将来的には無くなってほしい」と話されていた方がいました。救助犬の活動や事情に詳しくない私は当時「そうか。かわいそうなのか」とのイメージを持ちましたが、今回の実演と講話を通し、災害現場はたしかに過酷だけれど、災害救助犬の救助活動や訓練は決してかわいそうでは無いんだと感じました。

■今回の講座を通して、もし大地震のような災害に遭遇した場合、ペットと共に生きていくために出来ることは何か、など気付いたこと
●やはり、自助の大切さに改めて気づけました。狭くてストレスがたまる避難所には家族同様のペットは連れて行きたくないのが私の本音です。なので、他の飼い主もどれぐらいペットが苛酷な環境に合うのかを知ってほしい。だが、それが叶わない方もいる。避難所ではなにが必要か知り、在宅避難であっても避難所であっても備えておくことは必須で当たり前の事だとみんなが認識するべきだと思いました。

●避難準備の大事さと、日頃からの隣助、ご近助づきあいの大切さ。在宅避難が推奨され、避難しないという前提で準備をされている方が多いですが(それはそれで大事ですが)、危険が迫ればやはり避難せざるを得ない状況もしっかり考えて、物は厳選し、想像だけでなく実際にシミュレーションもしておくことを今まで以上に啓発していきます。また、単独での避難は危険、まわりに声をかけ一緒に避難し共助ができるようなお付き合いをしておくことはやはり大切だとより感じました。

 

SAEクラブスタディの今後の開催予定は決定次第、受付開始します。
随時更新しますので、通学講座・1Dayセミナー日程ページをご参照ください。
詳しくはこちら

 

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