新しいアイデンティティの誕生②

健全な退行を体得したことで、飼い主は、自分がなすべきことを見出す、という第12段階にたどり着きました。
第12段階は、4種類のアイデンティティのうち、アイデンティティの安定を示す「同一性達成」です。

(4)同一性達成:「自分は、どうすればよいのか」という自分への問いを積極的に行いつつ、熱中するものを持っている

この段階の飼い主には自分が経験した苛烈な悲嘆を少なく、短く、軽くするためのペットとの生活方法がわかっています。
そして、それをわかりやすく他の飼い主たちに提言することが「自分は、どうすればよいのか」という自問の答えであり、そのスキルの向上に熱中している自分に心から満足することができます。
これが、飼い主が身につけた新しいアイデンティティです。飼い主は、ペットと別離する前の自分に戻ったのではなく、より成熟した人格者として生まれ変わったのです。
同一性達成という山の頂に立った時、飼い主は、別離したペットに、はじめて純度100%の感謝を口にすることができます。

「たかがペット」と言う人がいます。しかし、そのペットは、ペットロスを通して飼い主の精神を無限の高みへと成長させてくれる「されどペット」なのです。

(了)

◀◀◀獣医師から学ぶペットロスの心理とはvol.29
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