“ふたつの怒り”のはじまり

ペットが動物病院で死別した場合、飼い主のパニックを獣医師、動物看護師などが目撃することになります。
この時、「イヤだ、イヤだ!」とわめきちらし、遺体を抱く飼い主の姿が彼らにもたらすものは、悲愴感だけではないかもしれません。
獣医師たち医療スタッフは、治療のために全力を尽くしたでしょうし、飼い主と歩調を合わせてその瞬間にたどり着いたと思っていたはずです。
ところが、飼い主の反応があまりに強いと、その感情の爆発が、自分を責めているように感じてしまうのです。

この「責められている」という感覚がなぜ獣医師たちに生じるか、については、個別の理由があるはずですが、総じていえば、これもまた対象喪失です。
たとえば、獣医師たちが一定の信頼感を飼い主に寄せていた場合、獣医師たちは、飼い主の速やかな死の受容を予想したはずです。
また、最後まで治療にこだわるタイプの獣医師にとっては、自分の努力は飼い主を満足させられたはずだ、と予想したかもしれません。

ところが、子どものように泣き崩れる飼い主を見た時、それらの予想は覆され、飼い主への信頼感や自分への満足感は喪失し、飼い主とは異なる悲嘆がはじまることになります。
彼らの眼には、飼い主の姿は、自分の治療への批難、批判となって映ります。飼い主の泣き声が「お前が悪いんだ!」と聞こえる、というわけです。

飼い主は、これから第4~第6段階につづく怒りの段階に入ります。
それに先んじて獣医師が自分を擁護するような発言をすると、飼い主の怒りは複雑化し、敵対的で長期的なものになる恐れがあります。

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