じわじわと家禽への高病原性鳥インフルエンザの感染が広がりを見せる中、岡山県では今月4日、住宅の庭で死んだハヤブサが見つかりました。
詳しい検査を行った結果、やはり、高病原性鳥インフルエンザH5N8亜型が検出されました。

このように、街中や庭先で野鳥の死骸を発見するケースは以外と多いものですが、いざ野鳥の死骸を目の前にすると、どう対処したらよいのか困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は愛玩動物保健衛生士と、野鳥の持つ病原体と、もし死骸を見つけた時の対処法を見ていきましょう。

野鳥の持つ病原体

◎鳥インフルエンザ:
人にも感染する可能性があるインフルエンザの一種で鳥が大量死する原因となる病気のひとつでもあり、突然変異を起こし人への感染力を獲得した場合、新型インフルエンザとして世界規模で大流行し、多くの人が亡くなってきた歴史があります。

◎クリプトコックス症:
肺や皮膚から感染し、脳髄膜炎を引き起こす可能性が高いとされています。

◎オウム病:
野鳥の糞などから感染することがあり、高熱を引き起こし、最近では妊婦の死亡例が報告されています。

◎トキソプラズマ病:
胎児にまで悪影響を及ぼす可能性のある危険な病原体です。

◎サルモネラ菌:
死骸に素手で触れたりすることで感染し、下痢や嘔吐などの症状が出ます。

ほかにもさまざまな病気に感染する可能性があり、国や地域によっても野鳥の死骸が持つ病原体は違ってくるようです。

万が一家の周辺や公共の場で野鳥の死骸を見つけた場合の対処法

野鳥の死骸にはさまざまな危険が潜んでいますので、充分に気をつける必要があります。

まず、自宅の庭や玄関先、道端などで野鳥の死骸を見つけたら、死んでいる鳥の種類と数を確認する必要があります。
もし見つけた鳥の死骸の近くに、ほかの鳥の死骸が5羽以上あるようなら、鳥インフルエンザの可能性も考えられます。

とくにカモメ・白鳥といった水鳥や、フクロウ・ワシ・タカといった猛禽類の死骸は、鳥インフルエンザが原因である可能性が高いとされています。
今回発見されたハヤブサも猛禽類であり、鳥インフルエンザの発生状況も鑑みて簡易検査を行った結果、陽性の疑いが判明し、確定診断と至った経緯があります。

とはいえ、本当に鳥インフルエンザで死んだとしても、死骸や排泄物に直接触れるような接触がない限り、基本的に人が感染することはないとされていますから、扱い方を間違わない限りは現状ではそこまで恐れる必要はないでしょう。

★☆★家の周辺で5羽以上の死骸を見つけたときや道路など公共の場に野鳥の死骸を見つけたとき★☆★
鳥インフルエンザなどの病気で死んだ可能性があるため、不用意に近づかないで、なるべく早く自治体や業者に連絡しましょう。

このように、野鳥の死骸の状況から鳥インフルエンザや病気が疑われる場合は、地域を担当している保健所や環境事業所に連絡して対処してもらいましょう。

☆★☆家の周辺で4羽以下の死骸を見つけた場合☆★☆
一般ごみとして出すことができますが、ゴミ袋などに入れて捨てる場合は素手では絶対にさわらず、ゴム手袋をしたりトングなどで拾ったあとで何重にもしたゴミ袋にいれ、ごみとして出します。
ただ、自治体によっては一般ごみとして出せない場合もありますから、事前に確認しておきましょう。
なお、病性鑑定が必要な場合もあるため、基本的には保健所へ連絡することを覚えておきましょうね。

 

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