第1段階 精神的打撃と麻痺状態

ペットの死という衝撃により、一時的に現実感覚が麻痺し、まるで「頭の中が真空になったよう」に感じ、思考力が低下する段階です。
飼い主は、卒倒するように、その場に座り込むかもしれません。
これは、防衛機制(defence mechanism)という、心身のショックを和らげる本能的な機能によって惹き起こされる現象とされています。

防衛機制とは、人間に生来備わっている能力であり、心身のショックを和らげる本能的な機能を指します。
それは、車のバンパーのようなものです。
悲嘆という重い物体が自分の心に激突したときに、その衝撃を一時的に吸収しながら飼い主に体験させ、心の許容範囲の拡大に応じて、緩和された衝撃を少しずつ経験させていきます。
これにより飼い主は、ペットロスがもたらす最初の悲嘆の衝撃を弱めながら体感することができ、心を壊すことなく、第2段階以降へと受け流していくことができるようになります。

ただし、この時、飼い主は思考力が低下することで、逆に真空の中にいるようなきわめて特殊な感覚につつまれます。
この特殊な感覚は、飼い主の全身を純粋で優秀なセンサーに変え、周囲の情報を鋭敏に収集させます。

この時、飼い主が動物病院にいて、眼前でペットの死を知ったとします。
そして、まったく別の場所と理由で動物看護師などが「くすっ」と笑ったとしても、そのかすかな声を飼い主は、聞き漏らすことなく記憶します。
それが、後になり、動物病院に対する怒りの原因になることがあります。

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