ペットを飼っていると、その子たちの、日々の健康が気になる、というのは当然のことかもしれません。
食欲はあるか、お腹の調子はどうか、そもそも元気はあるかどうか。
いつも通りなら何の問題もありませんが、少しでもいつもと違う様子を見せれば、気になって気になって仕方ない!という飼い主も多いことでしょう。
最近では、どこか悪いのかと動物病院へ連れて行ったものの、ただのかまってちゃんですね、と言われた!など、病気かと思った原因が別のところにあったことを、先生から言われた衝撃的な言葉としてSNSなどで紹介、私もよく拝見しては笑わせてもらっています。
そうしたほっこりした話で済めばいいのですが、そうも言っていられないお話について、愛玩動物保健衛生士からご紹介します。
感染症で犬が死亡
ネットか何かで見かけた人もいるかもしれませんが、2025年1月、神奈川県藤沢市で、レプトスピラ症という病気に感染した犬が亡くなったという報告がありました。
このレプトスピラ症というのは、野生動物、とくにネズミの尿中に含まれる細菌が原因で引き起こされます。
主にネズミの尿中に排泄され、水中や湿った土壌で長期間にわたって感染力を保持し、感染経路は以下の通りです。
⓵感染したネズミや犬の尿が主な感染源
➁尿で汚染された土壌や水(川、池、草むら、田畑、ごみ置き場など)
これらが口や皮膚の傷を通じて体内に入ることで感染します。
ネズミが出そうなところになんて近づかないよ!という飼い主もいらっしゃると思いますが、都市部にだって多くのネズミが暮らしています。
なんなら田畑に出るようなネズミより大きなネズミが、都内の駅構内や町中を走り抜ける姿を何度も見かけたことがありますし、実際に都内でも人のレプトスピラ症感染の報告があります。
そうです。
このレプトスピラ症は、犬はもちろん、猫にも私たち人にも感染する人獣共通感染症の1つなのです。
最近では、河川でのレジャーや労働後に発症する事例や、台風や洪水後などの感染例も報告されています。
レプトスピラ症の致死率は、適切な治療が行われない場合で20~30%に達します。
初診が遅れ、重症化すると肝臓や腎臓の機能障害を起こし、死に至ることもあります。
予防法は?
予防法としては、
⓵散歩コースなどの注意点
・川や池、草むら、ゴミ置き場、電柱付近など、ネズミが出そうな場所はなるべく避ける
・多くの犬が集まる公園や山道も感染リスクはあると自覚する
・お散歩から帰ってきたら足先を洗ったり濡れた布などでしっかり拭う
➁予防接種
・7種、8種の混合ワクチンにレプトスピラ症のワクチンが含まれています。
現在5種、6種を接種されていて、お住いの地域や環境がレプトスピラ症に感染するリスクがあるのではないか、と感じる方は、動物病院で相談してみるといいでしょう。
今回レプトスピラ症に感染してしまった子の飼い主も、まさかうちの子が感染症で亡くなるなんて思ってもいなかったことでしょう。
コロナ禍を経て、感染症に対する私たちの意識は多少なりとも変わらざるを得なかったわけですが、まだまだ良く知らない感染症はあります。
これを機会に、混合ワクチンに含まれている感染症や、気になる感染症を調べてみるのはいかがでしょうか?
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