新型コロナウイルスの全世界の新規感染者数は9月になり減少傾向にあるそうですが、ヨーロッパの一部の国では9月末から感染者数がやや増加している様で、秋から冬の流行再燃が始まりつつあるようです。
日本では10月に入り、インフルエンザ予防ワクチン接種も始まり、コロナとインフルエンザは今や警戒すべき2大感染症かもしれませんが、もちろん他の感染症も忘れるわけにはいきません。愛玩動物保健衛生士と確認しましょう。

秋冬に流行しやすい人獣共通感染症

レプトスピラ症は、日本では古くより「秋疫(あきやみ)」の名で呼ばれているように、秋から冬にかけて増加することで知られている人獣共通の感染症です。

中南米のブラジルや東南アジアのフィリピンやタイといった熱帯・亜熱帯地域を中心に流行が見られるため、日本ではその存在はあまり知られていませんが、現在も九州や沖縄などの温かい地域を中心に散発的に発症が見られています。

なぜ「秋疫」なのかというと、田んぼなどの農作業中に感染することが多かったから、と言われています。
現在は機械化が進み、農作業を原因とした感染は減少しているようですが、それでも0ではないのは、最近は水のレジャーに関係した感染が増えているからです。
そのため、夏場の感染も増えつつあります。

感染状況

農水省の監視伝染病発生月報によると、全国で年間約20~50頭の犬で発症が報告されており、厚労省のデータによると東京では過去30年間で人の感染が40件確認されています。
感染事例こそ少ないものの、都内で犬を飼われている方も決して無関係ではありません。

ではなぜ農業や水のレジャーから縁遠いような都内でも発生するのでしょうか?
それは、都内は驚くほどにネズミが多いからです!
そのような理由もあって、都内でも発生する可能性があるのです。

レプトスピラ症を知って予防に努めましょう

レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌の感染によって起こる感染症です。
その最大の感染源となるのがネズミの尿で、菌を含んだ尿や尿が溶けた水をなめたり、傷がついた皮膚からレプトスピラが侵入することで犬に感染します。
感染すると発熱や食欲不振のほか、血尿や嘔吐、下痢といった症状が発症。さらに強い腎機能障害や肝機能障害により、重症化するケースもあります。

また、白目部分や口の粘膜、おなかの皮膚が黄色っぽく変色する黄疸も主として見られる兆候のひとつです。
とはいえ、レプトスピラ症は感染しても症状がまったくあらわれず、そのまま自然に治癒するパターンも少なくありません。
しかし、そのような場合であっても排尿によって細菌をばらまき、知らぬ間に他の犬や人間に感染させてしまうことがあるので、特に多頭飼いをしているご家庭ではよりいっそうの注意が必要です。

レプトスピラ症の予防法は、ワクチンがもっとも効果的です。
一般的な5種・6種混合ワクチンにはレプトスピラワクチンが含まれていません。
そのため、毎日の散歩で草むらによく行く場合やレジャーなどで自然が多く残る場所に一緒に出かける際には、獣医と相談したうえで接種するようにしましょう。

ただ、ワクチンを接種したからといって完全に予防できるわけではありません。
というのも、レプトスピラには多数の種類が存在し、種類によってはワクチンがないものもあります。
また、万が一感染してしまった場合も、抗生物質の投与で治療が可能ですが、腎機能障害や肝機能障害などを併発していることも多く、重症化することもあるため、ワクチン含め、日頃から予防に努めることが重要と言えます。

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