新型コロナウィルスの感染拡大による外出自粛の影響で、「コロナ太り」に悩む人が増えているという話をよく聞きます。
しかしそれは人間に限った話ではないようです。
昨年から、ペットの肥満についてのお悩みが増えました。
「コロナ禍で在宅時間が増えたせいか、ついおやつを与えすぎてしまったようで、愛犬が太ってしまった」
「外出自粛を気にするあまり、散歩時間が短くなって愛犬の運動不足が心配。少し丸くなったような・・・」
という声が寄せられています。
「肥満」は人間だけでなく、ペットにとっても問題。
ペットは自分で食事や運動をコントロールできませんから、ペットを愛するあまり太らせてしまわないように、かわいいペットにいつまでも健康でいてもらうために、飼い主さんが知識を持つことが重要です。
内臓も骨も大変!
人もペットも肥満になると、心臓の病気、呼吸困難、糖尿病、ヒザの痛み、関節の炎症、尿結石症など、いろいろな病気にかかりやすくなります。
なぜそうなるのか、からくりを少し説明しましょう。
- 心臓
体重が増えると、いろいろな動作に、より多くのエネルギーが必要になります。
より多くの血液を送り出そうとがんばった心臓は、大きくなってしまいます。
また、いわゆる「ドロドロ血」になって、動脈硬化を起こし、血液の通り道が狭くなったり、血管の壁が硬くなったりします。
すると糖尿病や膵炎などにかかりやすくなりますし、心不全や心筋梗塞にもなります。 - 呼吸
肺も一生懸命、酸素を取り込もうとしますが、胸の容積は肋骨があるのでほとんど変わりません。
しかも心臓が大きくなった分、肺は十分に膨らめませんから、肺は一層大変になります。 - 関節
重くなった体を支える股関節、膝関節にも負担がかかります。
筋肉や骨、靭帯などの骨格も、体重が限度を超えてしまうと、切れたり折れたり、痛めたりします。
痛めて炎症の起こった靭帯や腱をかばって歩くと、背骨、特に腰を痛めます。 - 排泄
猫は、去勢手術後に太ってしまった結果、尿結石による膀胱炎や尿閉塞や腎不全、尿毒症が多くみられます。
悪化すると死亡してしまうことも少なくありません。
なぜ体重が増える?
原因は一つではありません。
- 食事の量や回数が多い
トッピングも多すぎれば、カロリーの摂り過ぎになります。
おやつを少し、飼い主さんの食事を少し……その「少し」も積み重なれば太る原因です。 - 運動
室内で飼われている犬猫は、そもそも運動不足であるうえに、満足な食事が与えられて、いつでも寝ていたら太りますよね。
太れば運動も億劫になるし、足腰に負担がかかるのでさらに運動量が減って痩せられない……という悪循環に。
特に猫は、飼い主さんと散歩をすることは難しいでしょうから、より肥満になって解消できないケースが目立ちます。 - 避妊去勢手術の影響
最近は、子犬子猫のうちの早い時期に去勢手術や避妊手術をすることで、太りやすい体質になることも多いです。
特にオスの去勢手術を行った場合に顕著かもしれません。
ペットフード選びの4つのポイント
今、ペットフードは、種類がとても豊富で迷うことでしょう。
そこで、ペットフードを選ぶ飼い主さんのために、ポイントを4つ紹介します。
- ペットがよく食べてくれること。
愛犬愛猫の食いつきが良く、毎食きちんと食べてくれるのは重要ですし、飼い主さんも安心できます。 - 病気にならないこと。
市販のペットフードで病気になるペットは少なからずいます。
ペットフードの保存には湿度や温度、雑菌の混入を避けることが重要ですが、そのペットフードに含まれている保存料や添加物、また食材自体に反応してしまう子がいます。
アレルギーの皮膚炎、内臓の病気、軟便、おしっこに石が混じるなどが見られる場合は、ペットフードの変更が必要です。動物病院を受診してアドバイスを守ってください。 - 良い便をし、皮膚や被毛、健康状態が良いこと。
それが最高です。 - 飼い主さんが与えやすいこと。
毎日のことなので用意に手間がかかるのは大変です。
また値段も大切ですが、あまりにも安価なものは避けたほうが良いでしょう。無理なく続けられるフードを選択してください。
最近はペットも長生きになり、老齢による病気も目立っています。ペットの年齢に合ったフードを選ぶことも大切です。
肥満対策フードは獣医師に相談を
肥満だからと無理なダイエットをすると、体重は減りますが、体内の水分や筋肉、骨が先に減って、脂肪は残ってしまいます。
その結果、脱水や貧血、栄養不足で毛艶のない病的な身体になってしまいます。
また、いきなり分量を減らされると、最初は我慢できても、ゴミを漁ったり、人の食べているものを欲しがったりするようになるペットもいます。
肥満対策のフードは、体に付いた余分な脂肪を減らし、筋肉量や骨密度を維持しながら、健康的に痩せていくことが目標です。
動物病院で購入できますから相談してください。
最近は、手作りフード・手作りごはんに関心を持つ飼い主さんが増えています。
手作りフードは添加物を避けアレルギーの改善などのメリットがありますが、正しい栄養の知識をもって実践しないと栄養が偏ったり、摂取量に過不足が生じる可能性があります。
また、ペットが手作りフードに慣れてしまい市販のフードを口にしなくなってしまうと、入院やペットホテルに預ける必要がある場合などに何も食べないという事態になってしまいます。
市販のペットフードと手作りフードを上手く使い分け、飼い主さんも愛犬愛猫もストレスの無い食生活を続けて健全に過ごしましょう。
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