外出自粛や在宅ワークが続く中で、ペットを飼う人が増えているようで、猫の飼育頭数も増加傾向だそうです。
そんな猫のルーツに、新たな発見がありました。猫健康管理士がご説明します!

私たちが飼っている猫は、その祖先である野生のネコ、リビアヤマネコに対して、イエネコと呼ばれています。
現在分かっている最古のイエネコの埋葬例は、約9500年前のもので、地中海に浮かぶキプロス島で2004年に発見されました。
詳しく調べてみると、そのネコはおおよそ生後8カ月、様々な装飾品とともに、飼い主と思われる30代の人間(性別は不明)と一緒に墓に葬られていたそうです。
ちなみに、当時のキプロス島には野生のヤマネコは存在しないとされているため、「ネコは約1万年前に船に乗ってやってきた」と考える研究者もいます。

このように、わかってきたこともあれば、ヤマネコをイエネコへと変貌させていった遺伝的な変化や、生活の変化については、まだ多くの疑問が残っています。
そもそも、祖先のリビアヤマネコは約1万年前に現在のペルシア湾からチグリス川・ユーフラテス川を遡り、シリアを経てパレスチナ、エジプトへと到る肥沃な三日月地帯と呼ばれる土地で家畜化が始まったとされています。

そんな暑い砂漠地帯から、どのように世界に広がっていったのか。

今回の新発見は、その謎を解く一端となるであろうものでした。
というのも、今回リビアヤマネコの骨が発見されたのは、中央ヨーロッパのポーランドで、調べてみると、約6000年前の骨であることがわかったそうです。
なぜ近東から中央ヨーロッパまでリビアヤマネコが分布を広げたかはまだわかっていませんが、どのように移動したかの想像はできます。
それは、今回発見された骨よりさらに1000年ほど遡った約7000年前。
近東の肥沃な三日月地帯を出発した新石器時代の初期の農耕民族は、当時すでに家畜化されていたヤギ、ヒツジ、ウシ、イヌといった動物たちも一緒に連れて移動していて、おそらく、ヤマネコもこっそりとついてきていたのでしょう。
当時の人々がどこまでヤマネコと親密だったのかはわかりませんし、もしかしたら見つかった場所に犬などの捕食動物が運んだ可能性も捨てきれません。
それでも、本来の生息地から人の移動とともに移っていく分布をみれば、人の側で暮らすことが猫にとって利益があることであった、ということでもあります。

その後どのような家畜化を経たのか。

従順型の犬と、自由奔放な猫では、その家畜化の過程にどのような違いがあったのか。
世界に猫が広まった経過などと含めて、新しい発見があるたびに猫の新しい魅力に気がつけるようで、楽しみでなりません。
猫の家畜化の過程を知ることは、猫を正しく理解する上でも大切です。
私たちと一緒にいる猫が、どのような歴史を経てきているのか、この機会に調べてみても面白いかもしれませんね。

飼い主と手をつなぐ猫

 

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