梅雨前線の影響で、関東、東海地方の太平洋側では昨日7月2日から3日にかけて記録的な大雨となっています。
神奈川県平塚市は3日朝、避難情報のうち最も危険度の高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令し、5月20日の災害対策基本法の改正による大雨警戒レベル見直しから初発令となりました。
このことから、ペット災害危機管理士(R)より「避難指示の一本化」について改めてお話しようと思います。

「大雨警戒レベル」の細分化

大雨などの災害時に発表される避難情報が5段階となったきっかけとなった災害を覚えていますか?
そもそも、この避難情報である「大雨警戒レベル」が5段階表記されるようになったのは、2019年5月末から。
導入のきっかけは、平成最悪の水害と言われる、2018年7月の西日本豪雨です。
死者は220人を超えました。
なぜここまで甚大な被害になったかというと、自治体から避難勧告や避難指示などの情報が出てはいたものの、多くの人が避難せず、結果として犠牲者が増えてしまいました。
その理由について、専門家は当時、「気象庁や自治体の出す情報では、どのタイミングで避難したらいいのかよく分からず、実際の避難行動に必ずしも結びつかなかった」と指摘していました。
そのため、より詳細に避難のタイミングを分割したものが、「大雨警戒レベル」でした。
例えば、警戒レベル3の段階では避難準備の開始、警戒レベル4では緊急の避難指示や避難勧告が発令され、警戒レベル5では、すでに災害が発生しており、命を守ることを優先する、などが定められたのです。
しかし、5段階で運用した結果が的確な避難につながったか、というとそうでもありません。

避難勧告と避難指示

そもそも、避難勧告と避難指示にどんな違いがあったのか、皆さんはご存知でしょうか?
避難勧告とは、被害が懸念される地域の住民に対して、避難を促すために発令されるものが「避難勧告」です。
避難準備よりも緊急性が高く、人的被害の可能性がある状況で発令されるため、対象地域にいた場合は速やかな避難行動が強く推奨されます。
避難指示とは、いつ被害が起こるか分からない、もしくはすでに発災している状況下で発令されるものが「避難指示」です。
正確には、避難指示(緊急)と表記されることになっており、前述した2つと比較して緊急性が高いことを示しています。
避難が遅れれば命に関わるため、この段階で避難行動を取っていない場合は、直ちに避難しなければなりません。

このように記載しても、何が違うの?と迷ってしまいますよね。
簡単に説明すると、避難を促すものが「避難勧告」、今すぐ避難しなければいけないのが「避難指示(緊急)」だったわけです。

災害対策基本法の改正

しかし、この2つ、どちらも避難を促していることに違いはなく、すぐにでも避難を開始してほしいことも変わりありません。
であれば、一本化したほうが避難を開始する段階がよりわかりやすくなります。
そうした声をうけ、災害対策基本法を改正、自治体が発令する避難情報などを災害発生の切迫度に応じて5段階で示す大雨警戒レベルについて見直しをはかり、レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」にそれぞれ変更、2021年5月20日から新しい大雨警戒レベルが運用されることとなりました。

レベル3の「高齢者等避難」は、これまでの「避難準備」から対象をより明確にし、高齢者や介助が必要な人、子ども連れなど、避難に時間がかかる人に早めの避難を強く促します。
その他の人も、危険を感じたら自主的な避難を始める段階です。

もちろんペットを飼っている人もこの段階で避難を開始することが重要です。
レベル4は、これまで「避難勧告」と「避難指示(緊急)」がありましたが、「避難勧告」を廃止し、「避難指示」に一本化されます。
逃げ遅れをなくすために、レベル4の「避難指示」のうちに危険な場所にいる人は必ず避難することを周知徹底していく必要があるでしょう。
レベル5は、これまでの「災害発生情報」から、災害発生にかかわらず命の危険が迫っていることを知らせる「緊急安全確保」に変更されました。
この段階では、すでに安全な避難が出来ず、命が危険な状況になっているため、建物の2階以上に移動したり、崖から離れるなど、少しでも安全な場所で命を守る行動を取ることを念頭におきましょう。

ペットのために行動を起こす

とはいえ、こうして大雨警戒レベルが新たに設けられても、避難行動を起こさなければ意味はありません。
周囲の人たちと確認しあい、実際に「災害が起きるかもしれない」、という時点で声を掛け合って避難行動を開始することが重要です。
数人が避難し始めれば、周りも避難を開始します。
逆に、避難行動を始める人がいないと、周囲の人たちもなかなか腰をあげず、大変な事態を招きます。
私たちには、自分たちでは避難することができないペットという存在がいます。
そのペットたちのために率先して避難を開始することが、周囲の人たちの避難行動を促し、結果的に多くの人が安全なうちに避難することが出来るでしょう。
今まではペットがいるからこそ避難がしづらかったかも知れません。
しかし、自分たちの行動で多くの人が助かるとしたら、どうでしょうか?
避難することに消極的にならず、今年も起こるかもしれない災害に、そしてそれに巻き込まれるかもしれないことを想定して備えていきましょう。

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