東京都では1日当たりの感染者数が50人を下回る日が続き、日本全体を見ると39県の緊急事態宣言の解除が決定された中、動物関連で気になる報告がありました。

感染症の研究において日本では第一人者と言ってもよい、東京大学の河岡義裕教授らがアメリカの医学誌に発表したところによると、新型コロナウィルスは猫同士で容易に感染することが推察されるとの事です。

研究では、新型コロナウィルスに感染した人から採取したウィルスを猫3匹に感染させ、感染した猫1匹と感染していない猫1匹を同じケージで飼育し(計3ペア)、10日間毎日、鼻汁を採取してウィルスの確認を行いました。

その結果、当初感染させた3匹の猫からは、3日以内に一定量のウィルスが検出されました。また、6日目には、当初感染していなかった3匹の猫でウィルスが一定量検出されたとのことです。なお、当初感染した猫に関しては、感染後7日目以降はウィルスが検出できませんでした。もともと備わっている免疫によって排除されたものと考えられます。ちなみに、感染した6匹の猫はいずれも症状を示さなかったとの事です。このことから、次の2点が推察されます。

1点目は、人間に感染する新型コロナウィルスが猫に容易に感染するという点です。

2点目は、新型コロナウィルスに感染した猫が、ほかの猫と接触することによって容易に感染拡大していくという点です。

本研究は3ペアの猫のみで行われており、猫が新型コロナウィルスの感染を拡大させているということを証明するには至りませんが、猫同士の感染が起こりやすいことが強く推察されます。
なお、実際に家庭や街の猫がどの程度感染に寄与しているのかは不明で、過度に怯え、猫を遺棄したり駆除すべきであるという風潮になったりすべきものではありません。
ただ、猫に関してはヘルペスウィルスやカリシウィルス、猫エイズなど猫同士の触れ合いによって感染する疾患が数多く存在します。
屋内で飼育している猫に関しては、屋外に出さないようにする、屋外の猫に関しては、過度に触れたり抱きかかえたりしないという注意が必要ということを忘れずにいましょう。

SAE顧問獣医師 岩佐保宏

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