先月上旬、静岡で飼われていたサーバルキャットが逃げ出し、その後無事に保護されるというニュースが報道されました。
サーバルキャットとは、アフリカ大陸のサハラ砂漠以南に生息するネコ科の野性動物で、サバンナの沼地や川辺など背の高い草木が茂る草原などを好んで住んでいます。
体長は65~100cm、体重は8~18kg程度で、鋭い爪や鋭い歯を持ち、夜行性、肉食で、野生のサーバルキャットは鳥やネズミを食べます。
行動範囲が広く、最大10キロから20キロの範囲まで移動する可能性があると言われています。
今回はこうした日常のニュースから、ペットを飼うということや関わる法律や条例について、犬猫飼養アドバイザーがお話します。
気軽には飼えない「特定動物」
実はこのサーバルキャット、「セレブキャット」と言われるくらい高額。
生体も100万円以上なら、フードや飼養環境の維持にも非常にお金がかかります。
野生種の猫ですから、イエネコとは違い性格はかなり獰猛と言えます。
さらに、肉食の野生動物らしく警戒心が強く、成獣になってからでは人に懐くことは難しいとすら言われています。
もちろん幼い頃から飼育すれば懐くこともありますが、あくまでもサーバルキャットは野生種。
その凶暴性のために、今年の6月1日からは、「特定動物」に指定されています。
この「特定動物」とは、飼うためには自治体による飼育許可を取る必要がある動物を言います。
地域によって異なりますがサーバルキャットを飼育するためには、以下のような飼育設備を用意する必要があります。
- 一定の基準を満たした「おり型施設」の用意
- 脱走防止策をしていること
- 強度を確保できていること
- 定期的な施設の点検を行うこと
- 第三者が接触できない措置をすること
- マイクロチップなどを埋め込むこと
これらをクリアし、さらに飼養環境を整え維持する費用があって初めて飼うことができるのです。
また、病気になった場合、特定動物のため診察してくれる獣医師が限られるというのも覚えておきましょう。
簡単に飼うことができない、なかなかハードルの高い動物と言えますね。
守られるべき種としての生態
また、最近になって取引規制がかけられた動物もいます。
人気のコツメカワウソです。
このコツメカワウソも野生動物。
それが、正規の輸入経路にしろ、違法な密輸にしろ、本来の生息地であるインドネシアなどから日本に連れてこられて流通してきたわけです。
しかしこのコツメカワウソ、生息地の消失やペット取引により絶滅の危機に瀕していると指摘されており、レッドリストでは危急種に指定されています。
以前別のメルマガでも紹介しましたが、今回日本で取引規制することになったきっかけとなったのが日本における商業利用とそれに関わる密輸が国際的に問題として挙げられたためです。
そうした種として晒されている危機とは別に、コツメカワウソの生態を十分に理解せずに飼育する例が非常に多いことも、問題となっています。
これはなにもコツメカワウソだけに当てはまることではないのですが、「動物を飼育するのであれば、動物たちが本来自然に持つ欲求を満たす必要がある」ということを基本とする動物福祉の実践、が日本ではとても遅れています。
例えば、コツメカワウソは本来、家族単位で川辺や湿地などに暮らす、半水生の動物にも関わらず、住宅やカフェなどの店舗で飼育され、常時水槽へのアクセスができる環境もなく、活発で好奇心の強いその習性を満たすことができずにストレスをため病気になったり、誤った餌のために病気になったりしている現実があります。
動物を飼う前に知っておくべきこと
このように、動物を飼うというのは、その生態を熟知すること、かかりやすい病気やその予防に関する知識、その動物が本来持っている習性や行動を満たすことができる環境づくり、そしてそれらを維持する費用など、飼う前に知っておくことはたくさんあります。
これは、珍しい動物だけではなく、身近にいる犬や猫にも言えることです。
今、新型コロナウィルスの影響で犬や猫の飼育頭数が増えていると言われています。
まずは、飼う前にしっかりと勉強する時間を持ち、客観的に飼う・飼わないを検討することも、必要なことかも知れません。
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