連日の高温、そして湿度で、体調管理が難しい今時期。
熱中症やら夏バテやら、気をつけなくてはいけないことが多い時期はまだしばらく続きそうです。
さてそんな中、マダニが媒介するあの感染症がじわじわと発症地域を広げつつあります。愛玩動物保健衛生士からお話します。

SFTSの「発症地域」が拡大中

SFTSとは、「重症熱性血小板減少症候群」のことです。
2011年に中国国内で初めてこの感染症が報告され、その2年後、2013年に国内で初めて人への感染が確認されています。
以降、西日本を中心に、2022年は116人が感染し、12人が死亡しました。

ペットの場合、2023年3月末時点で猫647頭、犬37頭の発症が確認されています。

不思議なことに、SFTSのウィルスを保有しているマダニは全国で発見されていたものの、今までは静岡県より以西の西日本での発症が圧倒的に多かったのです。
しかし、2017年に千葉県での人への感染、発症(当初は日本紅斑熱とみられていたが、その後の詳細な検査によってSFTSであったことが判明)、2022年には富山県で飼い犬への感染、発症が報告されるなど、じわじわと発症地域が広がりつつあるのです。

SFTSの感染ルート

SFTSはウィルスを保有しているマダニに咬まれたり、そうしたマダニに咬まれた動物から人へ感染します。

このマダニ、草むらなどに潜み、通りかかった人や動物に飛びついて吸血します。

このように聞くと都市部にはマダニがいないように思われるかもしれませんが、庭の草花や公園、河原にももちろん潜んでいるでしょうし、ペットを連れてアウトドアに行った先で咬まれる可能性もありますし、山間部から野生動物が降りてくるときにマダニを連れてくる可能性だって捨てきれません。
都市部であっても油断は禁物です。

症状と予防法

人が発症すると、発熱や嘔吐、下痢のほか、ひどくなれば意識障害や血が固まりにくくなるなどの症状が出て、最悪の場合は死に至ります。

現在のところ、SFTSの発症を予防するワクチンもなければ、治療薬も存在しません。
SFTSの感染を防ぐためには、マダニに咬まれないように予防するしかないのです。

犬猫はしっかりとノミ・ダニ予防をすること。
人においては、暑い時期ではありますが、屋外で作業するときには長そで・長ズボンを着たうえで、首・手首・足首などもしっかりガード、そしてお散歩などの時にはディートやイカリジンの成分が含まれた虫よけスプレーなどを利用すると良いでしょう。

最後は、外から帰ってきたら犬猫の体をチェックすると同時に、自分の体もチェックするようにしましょう。
暑い時期にしっかり着込むことは大変ですから、草むらに近寄らないようにしたり、薄着をする場合は虫よけスプレーなどを活用して、マダニの脅威から自分や家族、犬猫たちを守っていきましょう。

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