先日、世界最高齢の犬についてお話しましたが、今回は出産頭数が世界一のお話をしようと思います。

▼ギネス公認の最高齢犬についての記事はコチラ
【獣医師からの健康注意点】犬の老化サインを見逃さずシニア期に備える
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2004年11月、イタリア原産の大型の闘犬、ナポリタン・マスティフが帝王切開で24頭もの子犬を出産しました。
この出産数は、それまでの最多出産頭数23匹を塗り替え、2005年から新たなギネス記録として認定されています。

ナポリタン・マスティフ(ウィキペディア)

そして、2023年の今年、それに次ぐ21頭を、グレート・デンという犬種が出産しました。
グレート・デンはドイツ原産の犬種で、肩までの高さが80センチ近くになり、体重が45キロを超えることも多い、こちらも大型の犬種です。

グレート・デン(ウィキペディア)

一般的に、犬は多産と言われていますし、実際に1回の出産で1~12頭の子犬を産みます。
体の小さな小型犬より、体の大きな大型犬の方が出産頭数が多くなる傾向にあると言われていますが、それでも20頭を超える出産は想定外もいいところでしょう。

このように、繁殖、出産とは思うようにいかないことが多いです。
実際に私もブリーディングに携わっていた時期がありますが、想定より多い出産頭数はもちろんのこと、母犬が上手く授乳できない、子犬が摂取している母乳の量が思っているより少なく発育が思わしくない、子犬の世話が上手くできないなど、一筋縄ではいきませんでした。
やむなく人工保育に切り替えることもありましたが、そうなるとしばらくは24時間体制でつきっきりのお世話が始まります。

仕事の関係で、一般の飼い主の方から「うちの子かわいいから産ませてみたい」と相談されることもありますが、命に関わることですから安易に決めるものではなく、繁殖・出産にはどんなリスクが潜んでいるのか、かかりつけの獣医師の意見はどうかなど、様々な視点から総合的に判断しましょう、とお話させていただきます。

確かに、命の生まれる瞬間に立ち会うのは素晴らしい経験になるかも知れませんが、それは無事に出産でき、母犬の育児に問題がなく、さらには子犬たちの行き先が決まっているからこそでしょう。

もし今、うちの子にも産ませてみたいな、と考えている方がいらっしゃったら、ちょっと立ち止まって色々調べてみることをお勧めします。
なにより、妊娠や出産のリスクを背負うのは、大事な家族である犬そのものなのですから。

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