本記事発信日である2025年3月11日で、東日本大震災より14年の時が経ちました。
2025年2月時点でも、いまだに約28,000人の方が応急仮設住宅や県外への避難生活を強いられています。
被害に遭われた故人へのご冥福と共に、今もまだ過酷な避難生活を余儀なくされながらも、復興に向けて懸命に前へと進まれている被災地の皆様が一日でも早く元の生活へと戻れますよう、心からお祈り申し上げます。
決してこの災害の記憶を風化させず、得た教訓を振り返るという意味も込め、3月はペット災害危機管理士(R)より防災に関するお話をしたいと思います。
同行避難と同伴避難
皆さんは同行避難、もしくは同伴避難という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
昨今、世間の防災に対する関心が強まりペットとの防災に関する情報も増え、この二つの言葉を見聞きしたことのある方も多いことかと思います。
しかし、SNSやインターネット上で散見される情報を見ると、実際の意味と世間での認知に少々誤りがあるように思えます。
環境省の提示する「人とペットの災害対策ガイドライン」に沿って、正しい定義を解説いたします。
同行避難とは?
同行避難とは、「ペットと共に避難所まで避難を行う」という行為を指します。
つまり、避難所での飼養環境は含まれていません。
例えば、避難所までペットと一緒に車で向かうも、ペットの飼養スペースがなかったため避難所の駐車場で車中泊避難をした、という場合も同行避難に該当します。
現在、ペットの野生化による被害や望まぬ繁殖、ペットを置き去りにすることによる飼い主の精神的負荷の解消を目的として同行避難を推奨されていますが、実際に避難所で飼養管理ができるかどうかは別の話ということになってしまいます。
同伴避難とは?
同伴避難とは「飼い主が避難所でペットを飼養管理する」という状態を指します。
ここで誤った認識をされることが多いのですが、同伴避難とは必ずしも同じ室内、居住空間内にペットを連れ込み飼養することではありません。
実際、同伴避難ができる避難所であっても、飼い主は他の避難者と同じく室内の居住スペース、ペットは人の居住区と離して設置された飼養スペースにまとめて区分けされることがほとんどです。
「人とペットの災害対策ガイドライン」の中でも、同伴避難とは必ずしも同室内での飼養を意味するものではなく、避難所によって飼養環境が異なるということが明記されていますが、世間では「同伴避難=避難所でペットと一緒の空間で暮らせる」という認識が独り歩きをしてしまっているように感じます。
この誤った認識のままでいると、実際に避難に向けて準備を進めていたとしても想定していた飼養環境と大きく異なってしまい、人とペットの両者に大きな負担をかけてしまう可能性もあります。
同室避難
同行避難や同伴避難とは別に、同室避難という言葉が使われることが増えてきました。
その名の通り、ペットと飼い主が同じ居住スペース内で避難生活を送ることを指し、多くの飼い主が望む避難生活の形式といえるでしょう。
当然自由に放し飼いはできず、クレートの中での飼養が必要にはなりますが、避難生活におけるペットのQOL(生活の質)の向上という意味でも非常に有意義なものです。
一部の市町村では同室避難可能な避難所を実装し、同室避難を想定した避難訓練を実施している事例もあります。
現状で同室避難を行う場合、吠え声や臭い、アレルギーなど他の避難者への配慮を考えるとまだまだ課題は多く残っており、全国での浸透には時間がかかることが予想されるでしょう。
しかし、取り組みが着実に進んでおり、今後飼い主一人一人がマナーを重んじ、他者にも配慮をした避難に向けた備えを行えば、全国での同室避難所の運営も実現不可能なものではないと言えます。
人とペットの共生には飼い主の意識向上が不可欠ですので、一人でも多くの飼い主さんに正しい知識が浸透し広まることを祈っております。
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