5月も終わりを迎え、6月となればあっという間に一年の折り返しとなりました。
薄暗い曇り空が続いたりと、梅雨入りが近いことを匂わせるような気候が続いており、まもなく長雨の季節が始まりますが、この時期雨の合間を縫って散歩に行くのはやはり楽しいものですよね。
そんな梅雨時期によく見かけるのが、色とりどりの紫陽花(あじさい)です。
最近は「ハイドレンジア(紫陽花の英名)」という名称で販売されていることも多いようです。

梅雨のジメジメとした気分を、その美しさで楽しませてくれる紫陽花ですが、実は人にとっても犬や猫にとっても危険な植物って知ってましたか?
キレイな見た目に惹かれて、うっかり犬猫が危険な目に遭わないよう、愛玩動物救命士と確認しましょう!

紫陽花の危険性

紫陽花は雨にも強いという特徴を持っており、梅雨から初夏にかけての代名詞ともいえる美しい植物です。
しかし、そのきれいな見た目とは裏腹に蕾や葉、根にまで危険な毒性を有していることで知られています。
もしも犬が誤って食べてしまった場合、後述のような強い中毒症状を引き起こします。
時期に応じて危険な毒性を持つ植物の注意喚起は、保健所など行政からも発信されていますが、当然犬は知りえないことのため、飼い主さんがいち早く察知して危険を回避するよう犬をコントロールしてあげる必要があります。

紫陽花の毒性

紫陽花は、その葉にクマリン誘導体(構造がビタミンKと似ており、肝臓におけるビタミンKのプロトロンビン合成促進作用に拮抗し、低プロトロンビン血症を生じさせる)と、品種によっては青酸配糖体(咀嚼によって同植物内の分解酵素と反応したり、胃内の消化酵素と反応することで、酸(シアン)が生成される)を含みます。

紫陽花と聞いてイメージするのは、雨とかたつむりだと思います。
しかし実際、野生下においては、この毒によって紫陽花にはかたつむりはおろか、他の虫たちも寄り付かないのだとか。
言われてみれば、我が家の庭にある紫陽花にかたつむりがいたことは一度もありません。

ちなみにこの青酸配糖体は植物ではありふれた毒です。
パッションフルーツの葉やキャッサバ(タピオカの原料。加工されたタピオカには毒性はありませんが、ペットにタピオカを与えるのはNGです)、ナタマメ等にも含まれていますので、あわせて注意しましょう。

紫陽花毒による症状

摂取してしまった場合に見られる症状は、嘔吐や下痢、血便、腹痛といった消化器症状に、呼吸促迫、意識障害などです。

人であってもその毒性は変わらず、紫陽花の葉は大葉の代わりに料理の盛り付けに使用されることもあり、毎年のように人での食中毒が発生しています。
2008年には料理の彩りとして添えられた紫陽花の葉っぱを食べてしまい、集団中毒が発生した事例があります。
直近だと2025年2月20日に、同じく料理に添えられた葉っぱを大葉と誤認し食べた結果、中毒を引き起こしてしまったという事例が記憶に新しく、ニュースなどで見かけた方もいらっしゃるかと思います。

葉だけではなく、花にも有毒成分を含んでいます。
室内に飾るときや散歩の際に紫陽花の近くを通るときには、ペットの口が届かないように気を付けましょう。

紫陽花の誤食に注意を

お散歩コースやお出かけ先で、綺麗に花を咲かせる紫陽花を見かけては、思い出として犬と共に記念撮影をしたくなってしまうこともしょうがないことかと思います。
拾い食いやモノを咥えてしまう癖がない子であれば、多少近づいて記念撮影程度ならば危険がないだろうとも考えてしまいますが、犬に絶対に大丈夫なんてことはあり得ませんので、むやみに近づかないようにすることが賢明でしょう。
写真を撮影したいときなどは、飼い主さんが抱っこをして、距離を取り安全を確保しつつ撮影をしたり、犬が食べられるほど近づかないようにリードの長さでコントロールをして撮影しましょう。

穴掘りが好きな子だと、穴掘りをしながら途中で紫陽花の根を意図せずに食べてしまう可能性がゼロではないため、どんな植物が自生しているかわからない場所では注意が必要です。
また、ご家庭によっては庭に紫陽花が植えられており、毎年咲く花を楽しみにされている方、もしくは観賞用として購入し室内に飾る方も一定数いらっしゃることかと思います。
自宅の敷地内であっても、犬に対する危険が潜んでいる可能性があることを忘れずに、目を離さずに見守ることは必要不可欠です。

もしも食べてしまったら

もしも犬が紫陽花を食べてしまった、もしくは食べた恐れがあるときには速やかに動物病院へと連れて行ってください。
病院に向かう時には、食べてからどれくらい時間が経過しているか、どれくらいの量を食べてしまったかなどの情報が治療を行う上で重要な情報になります。
例えばかじってしまった葉っぱの残りを持っていくことで、具体的にどれだけの量を食べてしまったかを正確に病院側に伝えることができます。

人での中毒死亡事例はありませんが、牛など家畜動物では死亡事例が報告されており、決して軽視してよい毒性ではありません。
素人目での判断で経過観察などしてしまうと取り返しのつかない事態になりかねませんので、速やかに動物病院へ受診しましょう。

 

梅雨は湿気や雨によるお散歩中止など、犬にとっても嬉しくない時期といえるかもしれません。
おうちの中での遊びを充実させたり、室内の気温や湿度を管理したりと、できるだけ犬に負担がかからないように整え、快適に暮らしてもらえるような工夫も飼い主さんの務めと言えます。

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