5月に入り、暖かく暮らしやすい気候が続くかと思いきや、一転しての雨模様など、移り変わりの激しい気候にお疲れの方も多いかと思います。
気圧の変動などで体調を崩されてしまう可能性もございますので、体調管理に十分ご留意ください。

さて、今回はフィラリア症に関するお話です。
既に予防を始めている飼い主さんも多いかと思いますので、ご存じの方も改めてどんな病気なのかを犬の健康生活管理士と復習してみましょう。

フィラリア症とは

フィラリア症とは、蚊が媒介する「犬糸状虫」の幼体である「ミクロフィラリア」が吸血によって犬の体内に侵入し、皮下や筋肉内で成長し、最終的に成虫となって肺や心臓などに寄生して様々な症状を引き起こします。
咳や運動不耐性、大静脈症候群を発症し、重度になれば心臓や肺の機能低下によって死亡する恐れもある危険な病気です。

フィラリア症予防薬の意味

フィラリア症予防薬は蚊の媒介によって侵入してくるミクロフィラリアを駆虫する駆虫薬です。
定期的な投薬により、犬の体内はミクロフィラリアを倒せる状態を維持でき、犬糸状虫が成長してしまう前に駆虫することによって発症を予防できます。

予防薬は錠剤やスポットタイプ、チュアブルタイプなどの種類があり、これらのほとんどが効力は1~2カ月のものになります。
また、昨今ではワクチンのような注射タイプのフィラリア予防薬も使用されることが増え、年に一回の予防で飲み忘れる心配がないことがメリットです。
しかし、副反応による被害の可能性があることを考えると、どんな犬にでも使えるようなものではありませんので注意しましょう。

注射タイプ以外のものは定期的な投与での予防が必要になるため、感染の恐れがある蚊の活動時期での予防が必要となり、一般的には蚊の活動を開始する1カ月前~蚊がいなくなってから1カ月後が投薬期間となります。

注意点は地域によって投薬期間が異なるということです。
暖かな地域では蚊が活動し始める時期も必然的に早まりますので、寒い地域よりも早い段階からの投薬が必要になってきます。
沖縄など温暖な地域では、1年を通しての予防薬投与を推奨されています。
お住まいの地域によって異なりますので、かかりつけの動物病院から処方されたものを、決められた期間欠かさずに与えるようにしましょう。

日本におけるフィラリア症

日本で暮らしていて、フィラリア症を身近に感じないという人も多いことかと思います。
それだけ駆虫する意識が一般的に浸透しているということは喜ばしいことですが、危険性などを知らないがゆえに予防に対する意識が希薄になってしまう恐れもあります。
日本における感染リスクでは、1年間予防薬を投与せずに暮らした犬の場合、約40%の確率で感染するといわれており、その状態が2年3年と伸びればほぼ確実に感染します。
このように、フィラリア症は予防薬を投与しないと感染する確率が非常に高く、さらに悪化してしまえばペットに大きな苦痛を伴い、死に至らしめる可能性もある恐ろしい病気であることは忘れないようにしましょう。

飲み忘れには要注意

フィラリア症予防薬は幼体のミクロフィラリアに対してのみ効果を発揮し、成虫に対しての駆虫や予防の効果はありません。
そのため予防薬を飲み忘れて長期間経過すると、蚊から体内に侵入したミクロフィラリアが成長し、慌てて駆虫薬を飲んでも駆虫できず手遅れになっている可能性があります。

また、予防薬を飲み忘れた期間の長さによっては、体内で繁殖が進みミクロフィラリアの寄生数が増えていきます。
その状態で薬を与えてしまうと一斉にミクロフィラリアが駆虫され、大量の死骸が異物として体内に残ることで急性のショック症状を引き起こし、最悪の場合命を落とす恐れもあります。
数日程度であれば誤差の範囲になりますが、1か月分忘れてしまったなどの場合には、自己判断で再開せずに、一度動物病院に相談し、検査など適切な指示のもと予防薬投与を再開しましょう。

日本において、毎年のフィラリア症予防は狂犬病ワクチンと同様に飼い主の義務とも言えます。
ペットが常に健康で元気に長生きしてらえるよう、決して忘れずにフィラリア症予防をしましょう。

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