猫に咬まれた傷やひっかかれた傷が赤く腫れあがったり、痒くなったりすることはありませんか?
国内において、犬による咬傷事故は猫に比べると約10倍多いとされていますが、猫の咬傷事故における感染症は犬に比べて猫の方が10倍多いとされているのです。
それはなぜか、また、猫からの受傷による感染症について、猫健康管理士がご説明します。

なぜ猫の方が感染症リスクが高いのか

近年犬の飼育頭数より猫の飼育頭数の方が若干多くなってきているとはいえ、その差は微々たるもの。
ではなぜ犬より猫の方が感染症のリスクが高いのでしょうか。
それは、猫の牙が細く鋭いために、傷口は小さいものの深い傷となるため、より深部まで菌が入っていきやすいためと言われています。
とくに、糖尿病などといった基礎疾患を持っている方の場合、咬まれた傷から菌に感染し、壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)や敗血症性ショック(細菌が全身に回り、命の危険を伴う状態)に陥る場合もあります。

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バルトネラヘンセレ(猫ひっかき病)

猫の場合、ひっかき傷にも注意が必要です。
猫にひっかかれることで、その部位に関係したリンパ節が腫れ上がることがあります。
例えば手などをひっかかれたときには脇の下のリンパ節が、足などをひっかかれたときには鼠径部のリンパ節が腫れるといった、これは「猫ひっかき病」と呼ばれ、「バルトネラヘンセレ」という細菌により引き起こされる感染症です。
この菌は猫に対して全く病原性はありません。
そのため、感染した猫にも全く症状はありませんが、18ヶ月以上も感染が続くとされています。

猫から猫への菌の伝搬にはノミが関与しています。
ノミが感染した猫の血を吸うことにより、ノミの体内に菌が入り、やがてノミの体内で増殖した菌はノミの糞便中に排泄されます。
その菌を猫が歯あるいは爪に付着させ、猫から人、あるいは猫間で傷ついた皮膚を介して瘡傷感染するものと思われます。
(必ずしも猫に派手に引っかかれる必要はありません、また、目に見えない小さな傷を介することもあります)

こうして、体内に入ったバルトネラヘンセレは、ときに血液中に入り込むことが知られています。
血液中に病原体が入り込むと、全身に原因菌がばらまかれ、急性脳症、多発性肝・脾臓肉芽腫、視神経網膜炎、関節炎など、数多くの合併症を生じることがあります。
これらの病気に関連して、発熱、けいれんや意識障害、視力障害、関節の痛みなどを生じますが、局所リンパ節の腫れは起こらないこともあり、診断が難しい場合があります。

ひっかかれる、咬まれる、という行為は、時に重大な事態を招きます。
いつものことだから、と軽く見るのではなく、少しでも違和感を感じるようなら、必ず病院で診察してもらうことを忘れずに!

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