第6段階 罪の意識

第4段階の「怒りと不当感」第5段階の「敵意とルサンチマン」を簡潔に例えると、ペットを喪失した飼い主は、まず運命を呪い、次に特定の個人を責めるのだ、ということです。

人は、無意識的に発動させた怒りの矛先を段階的に変化させていきます。
これは、怒りの感情をひきおこす原因の具体化にいたる道のりです。
運命という無形で具体的でないものを対象とした怒りは、やがて、獣医師、配偶者などの具体的な投射対象を持ち、激化します。

しかし、特定の他者に対して怒りを発散しても、もっとも欲すること、つまり、最愛のペットのよみがえりにつながらないことに気づき、敵意は、終息していきます。
そして、真に責められるべきは、自分だったのだ、と感じるようになるのです。
「思えば、あの子は、ずっと前から具合が悪そうだった。それを見つけてあげられなかった私は、飼い主失格だったんだ・・・」と感じることなどが、これに該当します。

こうした罪責感の多くは、心理的な補償作用と考えられています。
補償について、オーストリア出身の精神科医・心理学者のアドラーは、「劣等感を克服して自らの弱点を補おうとする心の働き」と定義しています。
これは、認めたくない何かを飼い主が積極的に認めようと努力する際に生じる現象と考えられます。

また、ユング(精神科医・心理学者)は、補償は「心的器官の調節作用である」と定義し、人の性格を8パターンに分類するタイプ論を打ち立てました。
たとえば、外向的に活発にふるまっている人に、ふと、とても内向的な一面を垣間見るというものです。
これは、ひとりの人間の中にある外向性と内向性が互いを補償しあい、調節しあうことで、自分をコントロールしているために起こるのです。

敵意という外向的な活動は、やがて内向的な自我の作用を受け、薄らいでいきます。

 

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